飲むお酒に性別は関係ないということ

本業でWEBライターをしていることから様々なメディアの記事をチェックするのですが、先日『女性に聞く!お酒の席で男性が注文したら引くお酒』という記事を目にしました。

カシスオレンジやカルーアミルクなどのカクテルが名を連ねていて、女性からのコメントで「女子みたいで引く」「子供かよ」「男ならビール!」といった、カクテルを飲む男性を否定する内容です。

これを読んで唖然としてしまい、「お酒に性別は関係ないだろう」と強く思ったと同時に、バーで働いていたとある日の出来事を思い出したので、書き連ねていきたいと思います。

間違った考えをしていた当時20歳の自分

当時の私は20歳、まだバーテンダーとしては駆け出しのアルバイトの段階で、ようやく様々なお酒を覚えた頃。

多くの人が知らない・飲んだことがないお酒を多く覚えることで「こんなお酒を知っている・飲める自分イケてる!」と、当時はどこか自分がかっこよくなった気分に陥ってしまいました。

そのことから、休日に友人や女性とお酒を飲む時には、マイナーなお酒や度数が高いお酒を注文してはかっこつける日々。

「カシスオレンジとかお酒を知らない大学生が飲むものだろ」なんて思ってたりもして、当時の自分であれば『女性に聞く!お酒の席で男性が注文したら引くお酒』の記事にも賛同できたでしょう。

バーでは多くの男性が女性を連れて来店され、男性がことごとく『マティーニ』などの度数の高いカクテルやウイスキーを嗜んでいる姿を見て「やっぱ男は度数が強くてかっこいいお酒を飲むべきだ」と感じはじめていた頃、とあるカップルの来店でその考えはひっくり返りました。

一組のカップルが間違った考えを正してくれた

そのカップルは推定24~27歳と若く(当時の自分からしたら年上のお兄さん・お姉さんなのですが)、お互いが接する態度を見る限りまだお付き合いをしていないか、付き合い始めのカップルでした。当然、お互いが自分を良く見せようとする時期です。

テーブル席に座られたため、私がオーダーを聞きに行くと男性から「カシスオレンジとウイスキーのロックください(銘柄を指定されたのですが忘れてしまいました…)」の注文。

当時はまだ見習いの段階だったため、お酒作りは先輩に任せます。

その後出来上がったお酒をトレイで運ぶ訳ですが、男女で来店されたお客さんにはレディーファーストのため、まずは女性にお酒を提供します。

カシスオレンジとウイスキーのロックだったため、当然のように女性へカシスオレンジを提供しようとしたその時、男性から「あ!それ僕のです!」と。

少々びっくりしながら「申し訳ありません!」と謝罪し、カシスオレンジをそのまま男性に提供し、女性にはウイスキーのロックを手渡します。

その男性の堂々とした態度に、私は「カッコいい…」と強く感じながらカウンターに戻ります。

テーブル席なので会話は聞こえませんが、カップルが楽しそうに会話している姿を見て、「自分が飲みたいものを素直に頼める人が一番カッコいいんじゃないか」「お酒に性別は関係ないんじゃないか」と思い始めるように。

そこから働いていく内に考えを改め直して「お酒に性別は関係ない」という考えに至りました。

自分が飲みたいなら堂々と注文すればいい

「甘いカクテルを注文するのは恥ずかしい」と心のどこかで考えていれば、その感情は表面に出てしまい、なよなよしく映ってしまうでしょう。

しかし、そんな考えを持たず「自分はこれが好きだからこれを飲む!」と堂々と注文していれば、何を飲んでいてもかっこよく映ると自分は考えています。

まだまだネット上では、「男がカシスオレンジとかww」「女性が強いお酒を飲むのはちょっと…」といった書き込みが多く見られますが、むしろ無理して強いお酒を飲んだり、本当は強いお酒を飲みたいのに我慢したりする方がみっともないです。

『自分が飲みたいお酒を、周りの声なんか気にせず堂々と飲める人』が一番かっこいいので、昔の自分のように「男ならマティーニ!」「ウイスキーをストレートで飲んでこそ大人」といった間違った考えを持っている人はすぐに考えを改め直してください。

男性も女性も、自分が好きなお酒を堂々と飲めるような時代がくれば嬉しい限りです。